練習中の急性心筋梗塞。
34歳だった。
彼のチームの練習場にはAEDが備えられていなかったという。
J1のチームだけではなく、大規模なスポーツ会場、人がたくさん集まる場所にはAEDの設置が望まれる。
心停止は4分で生存確率が半分以下になる。
もし早期の対処が行われていたら、結果も違っていたかもしれない。
おそらく練習時の彼は、水分補給が十分ではなかったのではないかと思う。
夏場の急激な運動は、心臓への負担が大きい。
こまめな水分補給は、年齢を問わずに大切なことだ。
自分自身も30歳を過ぎて、急激な肉体機能の衰えを感じている。
プロスポーツ選手といえども、年齢には勝てない。
彼は34歳だったが、サッカー界では決して若いとは言えない。
サッカーという非常に過酷なスポーツにおいての自己への過信は危険だ。
サッカー選手の突発的な心停止の例は、世界各国で後を立たないという。
原因の究明と、今後の対策を考えてほしいと思う。
それは必ず、民間での事故防止に活かされることになる。
スポーツ選手は現役時代の活躍だけに華があるのではない。
引退後の活動においても、その特殊な経験を人々に語り伝えるという使命がある。
1996年のアトランタ五輪。
「マイアミの奇跡」と呼ばれる対ブラジル戦。
日本は伊東の1点を守りきり、勝利を収めた。
彼は、ブラジルを撃破した時のメンバーだった。
それから15年経つが、日本はなかなかブラジルには勝てない。
アトランタの経験を聞かせてほしかった。
どうやって、ブラジルを抑えたのか。
何を思ってピッチに立ったのか。
これから日本がブラジルに勝てる日が来るだろうか。
いろいろなことを聞かせて欲しかった。
夏の日の午後。
太陽がひとつ、なくなった気がした。