2010年11月1日月曜日

ランドセル

ランドセルは不思議だ。
今考えたら、全くもって機能性がないあんな大きな箱を、よく背負って学校に行っていたもんだと思う。
大人の決めた、小学生の象徴みたいなもんだろうか。


僕は長男だった。今も長男であるはずだ。
一番先に生まれてきたのだから、何でも新品が回ってくる可能性が高い。
これは非常にラッキーである反面、調子に乗る可能性も高くなっていく。


それに対して、7歳下の弟はいつも兄貴のお下がりだ。
悔しい思いもしたに違いない。


だが長男が世間において有利かといえば、そうでもないだろう。
下は上の失敗や、成功をしっかり見ている。
だから人生を渡り歩くのがうまい。
人間社会は良く出来ている。


そんな弟が小学校に入るときに、緑のランドセルを選んだ。
緑のランドセルで、毎日学校に通っていた。


僕は弟の姿を見て、頭を殴られたような衝撃を受けた。
ランドセルに対して、緑を持ってくる弟の発想に自由を感じた。


ランドセルと言えば黒だろうという既成概念にとらわれない弟のファッションセンス。
何も気にすることなく、国語の教科書を緑のランドセルに詰めている弟。
僕には絶対に出来なかった芸当だ。
時代はもうすでに弟のものであると悟った。



時代が進むほどに、概念はより自由になっていく。
これから生まれてくる子どもたちは、僕らよりもさらに自由な世界に生まれてくる。
それを何だか羨ましいと思っていたが、今は違う。


これからの人間に対して、何かを与えていこう。
次の世代に、もっともっと自由を作っていけたらいいなあと思うようになった。