2011年3月28日月曜日

未来を見通した作家ー安部公房ー

僕が尊敬する作家の一人に、安部公房氏がいます。
今日は彼の魅力について紹介します。



安部 公房(あべ こうぼう、1924年大正13年)3月7日 - 1993年平成5年)1月22日)は、日本小説家劇作家演出家
東京府北豊島郡滝野川町(現:東京都北区滝野川)生まれ(本籍地北海道旭川市)。少年期を満州で過ごす。高校時代からリルケとハイデッガーに傾倒していたが、戦後の復興期にさまざまな芸術運動に積極的に参加し、ルポルタージュの方法を身につけるなど作品の幅を広げ、三島由紀夫らとともに第二次戦後派の作家とされた。作品は海外でも高く評価され、30ヶ国以上で翻訳出版されている。(Wikipesiaより引用)
 
 
 
有名な作品は、「砂の女」「箱男」「壁ーS・カルマ氏の犯罪」など。
SFチックな独特な空間を配置した舞台設定。
砂や壁、箱などの一見何の暗示なのか分からないモノを使いながら、読者を別世界へと誘って行きます。
 
 
 
彼の作品で印象に残っているのは、「第四間氷期」という作品。
コンピュータの予言によって管理されている人類。
環境に適応するために、人類が水中で生活している未来を描いた作品でした。
 
 
 
人類は水中で生活しているので、涙を流すことは必要ない。
感情の表現も退化していくのです。 
なのに、陸に上がって久しぶりに呼吸をした主人公の目から、涙があふれてくる。
そのシーンがとても印象的でした。
 
 
 
現在のことを扱っている作家はたくさんいます。
過去を掘り下げてモチーフにしている作家もたくさんいます。
でも、未来を見せてくれる作家はそうはいない。
人間がどのように変化していくのかを、予言しているような、先見の明を持った作家というのはそうはいません。
 
 
 
彼が箱や砂に投影したものは一体何だったのか。
何を見通して、未来に生きる人類に、何を警告していたのか。
それを感じながらもう一度読んでみたいなあと思っています。